いつもと違う様子の修夜を相手にいつも通りの口調で返す担任の恵藤先生。



にこっと笑い、静かに中庭に入ってあたしたちの方に近付いてくる。



「俺は邪魔した覚えはない。もう雨宮も終わりでいいだろ」



いつの間にか修夜と舜の間に入っていて、2人の肩を押さえていた。



その力は意外にも強いのか、修夜が抵抗しても先生の腕はビクともしなかった。



「俺は別に」


「おま……逃げんのかよ」


「逃げてねぇよ。一発殴ったからスッキリしたし。それだけ」



修夜の怒鳴り声に、舜はそう言うと先生の腕を払いのけて中庭から出て行こうとした。



その腕を、あたしは咄嗟に掴んでしまった。



反射神経が別に良いわけでもないのに、その時は何故か無意識に舜の腕を掴んでいた。



「…あ…いや…」



自分でも何で掴んでしまったんだろう思い、あやふやにしか答えられなかった。



「ったく、今日だけだからな」


「え…?」



恵藤先生は修夜の腕を放してポケットに手を入れ再びにこっと微笑んだ。



「高畑は雨宮に話があるんだろ?今日は多目に見てやるから3人で話してろ」



先生はそう言うと、中庭をそそくさと出て行った。



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