そのメールは舜からで、やっぱり舜らしく一言メールだった。
“今日中に電話して”
たったこれだけ。
この一言だけだった。
今日中に電話。何か大事な話でもあるのかと思い、昼休みに屋上へ向かい、電話をした。
《…実紅?》
呼び出し音が止まり、あたしが、もしもしと言う前に呼ばれた名。
「う、うん」
朝まで一緒にいた舜の声が、今では近くにいないと思うと愛しくもなり、ドキドキした。
《進路について話したいことがあんだけどさ》
「う、うん」
《もう進路表出した?》
「ううん、5時限目から」
落ち着いたその声が、逆にあたしを不安にさせる。
《…俺も大学行くことにした》
「えっ、え?うそ!ど、どこに行くの?!」
今の舜の一言で不安が消えた。
確実にあたしの中で大きくなってた不安が消えた。
その時、だけは。
《県外の大学で、引っ越しすんことになったんだ》
誰か………
誰でもいいから………
冗談だと言って。
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