「実紅はどうすんの?大学行くことにすんの?」



あたしは、迷うことなく頷いた。



「料理の勉強しようと思うの」



基本的に料理をするのは好きだし
大学に行くなら、もっと料理について勉強したいと思った。



他にやりたいことが無かったっていうのもあるし

何かしらやることを見つけないととも焦ったし


自分一人だけ置いていかれるのは嫌だった。



それだから一生懸命自分に合ったものを探してみた。


そしたら料理だった。



「実家もう行くな」



舜はそう言って、大きなカバンを片手に玄関に向かった。



後ろ姿を見てると
「行かないで」と言いたくなる。



寂しくなるのに、一人じゃ嫌なのに、いつも二人で夕飯食べていたのに


今日一日舜がいないだけで


そばにいてくれないだけで


こんなにも寂しくなるよ。



ガチャンとドアの閉まる音がしたと同時に、床に置いてあった携帯が鳴った。



誰だろうと思い、携帯のディスプレイを見てみると


“舜”と表示されていた。
内容はあまりにもシンプルだった。



“寂しすぎて泣くなよ。明日には帰るから”



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