…やばい。
涙目になってきた。


どうしよう。止まらないかもしれない。


舜は不機嫌なのに、
あたしが泣いてどうする。




「なんだよ」




あたしが涙目とも知らずに
あたしのいる方に降りてくる。



でも涙目を隠すために俯くあたしに、優しい声を掛けてくれることはない。



だったら

あたしが涙目になってることを知ったら優しくしてくれるの？



慰めてくれる？
涙を拭ってくれる？



そうだったら俯かなかったほうが、よかったかな。



いまさら後悔してきちゃった…。

もう、遅いのにね。




「泣いてんの？」




それでも涙目になってるのはバレてしまった。



そこで気付くなんて
やっぱりズルすぎるよ。



近付く舜の足が、涙でぼやけていくのが分かった。




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