「俺が恵藤に口止めすればいい話だろ」



…そうだけど

そこまで根に持たなくてもいいのに。



近くに洸太しかいなかったから洸太に相談したってだけなのに。



舜の冷たい言葉が、不機嫌な声が



あたしの心にグサッと刺さった。




「はー…」




舜の深いため息が更に深くあたしの心にグサッと刺さった。



そして静かに



あたしを押し付けてた手を離して二階に繋がる階段を上っていった。




「…舜?」


「なに」




あたしが呼び止めると

階段の途中で止まり、あたしを見下ろす舜。



それは、さっきの冷たい瞳と違って脱力した感じの瞳だった。



それでも声を冷たく感じて
あたしは涙目になってしまった。




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