実紅は金魚みたいに口をパクパクして
亜実奈に言い訳をしてた。
でも亜実奈は言い訳と分かり、実紅の言うことを信じてなかった。
「これが普通だから」
「ちょっ、舜?!」
「別にもう隠そうと思わねぇし。つーか、隠すの面倒くさくなってきたし」
唯一俺の本性を知らない亜実奈だけが真剣に聞いていた。
他は俺が普通に話してんとこ何回も見たことあるから
何も驚かない。
ただ、
実紅は俺が自ら本性をバラしたことに驚いてるみたいで
まだ口をパクパクしてる。
「じゃ、じゃあ、あの王子様キャラは嘘…ってこと?」
「ああ」
「あのスマイルも?」
「ああ」
「あの優しさも?」
「ああ」
すべてを聞き終わると脱力したように亜実奈は先を歩き出した。
別に脱力しなくても。
たまたま王子様キャラっつう設定になっただけなんだし。
俺の所為じゃねぇだろ。
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