◇◆◇◆実紅◇◆◇◆
何も知らないからって陽気に話す修夜にムカついて、山崎さんと2人で校舎裏まで走った。
走ったからか"ハァハァ"と2人で息を切らしながら、膝に手をついて休んでいた。
そんな時でもあたしは
山崎さんに何て返事をすればいいのか、まだ考えていた。
素直なままの気持ちを伝えるのが一番難しいのに、舜はまるで
簡単なことだろ
とでも言うような顔をしながら、あたしにアドバイスしていた。
「素直な気持ち言うのって、やっぱり勇気いりますよね」
「え…?」
膝に手をついたままで、顔だけをあたしの方に向けた。
それはあまりに突然で、まさか顔だけをあたしの方に向けてくれるなんて思ってなくて
…次に出す言葉を思わず、のどの奥で飲み込んでしまった。
「実紅ちゃん?」
そう。あたしは山崎さんを凄いと思ったんだ。
だって、あたしが舜に想いを告げるには時間が掛かったし、お互いに意地を張ったりした。
好きなのに、どこかお互いにすれ違ったりして
好きなのに、想いを告げるのがあたしは怖かった。
それなのに山崎さんは、あたしに素直に気持ちを言ってくれた。
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