ついに舜は眉間にシワを寄せて、最高潮に不機嫌だった。
…全然気付かなかった。
山崎さんがあたしに好意を抱いているなんて、思いもしなかった。
…やっぱあたしって鈍感なの?
だって舜は山崎さんが今から告白する事分かってたみたいな顔してたのに、あたしは…
まったく、気付かなかった。
そんな鈍感なあたしをよそに、残りの2人はお互いに睨み合っていた。
「本気で好きなんだ。だから…」
「だから?俺に別れてほしいって言いたいんですか?」
昨日までの敬語とは違い、
敬語だけど、わざと挑発するような言葉遣いで喋る舜。
山崎さんと舜はお互いに視線を逸らすことはなくて、ジーッと睨んだまま。
いつの間にか教室の空気は2人の険悪な空気で包まれ
あんなに力強く舜に掴まれていたあたしの腕は自由になっていた。
「そんなことはない。ただ、実紅ちゃんの気持ちを聞きたいだけ」
山崎さんはそう言って、その自由になっていたあたしの腕を突然掴んだ。
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