強引に腕を舜に引っ張られた。



……その時だった。




「ちょっと待って!……実紅ちゃんに話があるんだ」


「え?」



再び舜の表情が不機嫌になり深く溜め息をついていた。



せっかくこのまま何もなく帰れると思ったのに…。



「話って何ですか?」



出来るだけ舜を不機嫌にさせたくないから早く帰りたくて早口に喋っていた。



「好きなんだ」



山崎さんも、あたしに合わせて早口で話していたけど、



あたしにはスローモーションのように、ゆっくり聞こえた。




「…なに…言ってるんですか」



あの爽やかで頼りがいのある、あの山崎さんが、あたしに告白なんて、ありえないでしょ。



きっと冗談だよ。

本気なんかじゃ…



そんな考えを裏切ったのは、この後すぐだった。




「本気なんだ」


「…」


「舜が彼氏って分かってても、諦められなかった」




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