舜はあたしから離れない。
むしろさっきよりも近付いている気がするぐらいだった。
顔だけ山崎さんに向けて、体はさっきと何も変わっていない。
まるで、山崎さんに“見せつけてる”かのように。
「部活じゃないんですか?」
山崎さんと話す時は裏だけど敬語を使う舜は、こんな時まで敬語を使っていた。
…切り替え早い。
表の王子様から裏の狼男に切り替えるのは毎日見てるけど
裏の毒舌だから裏の敬語に切り替えるのは、いつ見ても慣れない。
それよりも、何だかこの2人が揃うといつも険悪なムードになる気がすんだけど……気のせい?
……気のせいではなかった。
「休憩時間、実紅ちゃんが舜に襲われてないか見張りに来た」
「別に襲いませんよ」
「じゃあ今の体勢は? 襲ってる体勢じゃないの?」
「違いますよ。目にゴミが入ったって言うから見てあげてるだけですよ」
うそつけぇぇぇーっ!
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