「返事は?」
身長差があってか、舜があたしを覗き込むように見てくる。
そんな自然な仕草にもドキッとしてしまうあたしの心臓。
「また無視すんの?」
イラつきと寂しさが混じった声で話しかけてくる舜。
……無視じゃないよ。
欲しかった言葉を
ずっと欲しかった言葉を
こんなにも早くくれたから、嬉しすぎて答えられないんだよ。
舜が返事出来なくしてるのに。
そんな不機嫌で寂しそうな顔しないでほしい。
ガラガラ―
教室の入り口から誰かがドアを開けた音がした。
舜越しに見えたのは、白いシャツにスポーツズボンを履いた山崎さんの姿だった。
「学校でもかよ」
それだけ呟き、あたしたちの方に不機嫌な顔で向かってきた。
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