言えねぇのを分かっていて問いただそうと思うのは、俺の中のSが出てきてる証拠。
実紅が言えねぇのは、
俺に言うと俺がイラつくのが分かってんからとしか考えられねぇ。
『山崎さんに舜の部屋には入るなって言われたの』
『空に夕飯をどうしても作ってほしいって言われたの』
『本当に用事があったの』
実紅だったら最後の誤魔化し方は出来ない。
答えるなら最初と次の言葉の2つしかない。
なんて答えんだよ。
俺に嘘をつくのか?
冷ややかな目で実紅を見つめると実紅の涙腺が緩んだ。
泣くのはズルくね?
実紅の涙に俺が弱いの知ってて、泣いてんのか?
そんなわけねぇ、実紅は計算できるほど、いつも余裕ないし。
「山崎さんが、代わりに夕飯作りに行くって…言ったんだよ」
は?代わりに作りになんか来てねぇぞ。
「じゃあ、お前昨日帰ってから何処にいたんだよ」
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