イラつきは止まらず、楽しそうに話す実紅を置いたまま寮に帰ってきてしまった。



「…っくそ…」



…こんな風になるんだったら、


山崎さんが帰るまでの1ヶ月は空に実紅を任せて、俺が我慢しといた方がいいのかもしれない。




山崎さんが実紅を狙ってんのは確実なんだから、このまま山崎さんに近付いたら


俺のイラつきが止まんなくなる。



楽しそうに話す実紅も

俺の腕から簡単に抜ける実紅も



もう見るのは限界。



俺は短期で、嫉妬しやすくて


こんな性格なんだって知ったのは実紅と関わってから。



どんなに我慢しても、やっぱ実紅と他の男が話してんだけで、俺の心は闇を持つ。



黒く暗く、先の見えない闇の中に


イラつきが生まれて、怒りさえも生まれてきてしまう。



一度その闇に入ると


俺が俺じゃなくなる。



どんなにもがいても抜け出せなくて、


でも、たまに見えるその先に見える光にいるのは、実紅だった。




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