「逸らしてないっ!」
「あ? 逸らしたから」
「逸らした覚えなんて、これっぽっちも無いからーっ」
あたしが頬を膨らますと、
あたしの頬に、舜の少し冷たい手がそっと触れた。
「教えてもらいたいんだろ?」
「え?…あぁ、うん」
「その代わり、何だか分かんねぇ条件付き。実紅はいいの?」
もうここまで来たら、条件が付いてようが付いてなかろうが
テスト勉強を手伝ってもらえるんだから、あたしには関係ない。
………はず。
しかも全部のテストを40点以上取ればいいことでしょ?
うん。それだけ。
「いいよ、条件付きでも」
そしてこの一言で、舜の顔は一瞬にして大魔王に変身した。
あたしは、大魔王の罠に意図も簡単に引っ掛かってしまったのだ。
「やっぱ、やめ…」
その言葉の続きは、舜の唇に塞がれてしまった。
そして舜はニヤリと笑った。
「拒否権、ねぇよ?」
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