ガッシャン―
「…っきゃー!」
見事に、椅子から落ちてしまったのでした。
え、誰かって?
もちろん、みんなに天然と言われ続けたこのあたしです。
「…ったぁ」
「実紅ちゃん、平気?」
「んー、微妙かも」
頭はガンガン、意識は朦朧としている。
頭、クラクラするし。
奈留が舜にあたしからキスすることなんて言うからっ!
こんなことに、なっちゃったんだよ。
「なに、その格好」
「…っへ?」
「自分で立ち上がれないの?俺が起き上がらせてあげようか?」
あたしは尻餅をついているから、顔は見えないけど、手だけが差し出された。
紳士だ。優しいなー。
そう思い、差し出された手を受け取った。
その手を頼り、立ち上がると、その人の顔が見えた。
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