お母さんは、お父さんのことがすごく大好きだ。でも、お父さんはお母さんと結婚する前に別の女のひとと結婚してたらしい。あたしはその女のひとが産んだ子で、目の前にいるお母さんはあたしの本当のお母さんじゃないんだって。

お母さんとお父さんとあたしの本当のお母さんはおんなじ所で働いていて、お父さんと本当のお母さんはお互い好きになって結婚したんだけど、あたしが産まれて少しした後お母さんがお父さんを奪ったんだって、前にお母さんがあたしを殴りながら言ってたの。そこまでできるほどあのひとを愛しているのよ、ってお母さんは叫んでた。

だからお母さんはいっつもお父さんのご機嫌取り。お父さんの前ではいつだってニコニコしてる。お父さんは暴力が大嫌いだから、もしもお母さんがあたしにしていることを知ったらすごく怒ってお母さんを嫌いになっちゃうんだろうな。


「大きくなればなるほどあの女に似やがって!あああ憎い憎い憎い憎い憎い!」

お母さんが再び拳を振り上げた時



ピーンポーン…



お母さんは一瞬動きを止めた後静かに言った。

「窓から外に出なさい。今日は帰って来ちゃ駄目だからね」

あたしは問答無用で1階の窓から外に放り出された。


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