「っ…またあんたは…!一体なんなのよこの点数!?」

一般的に見て“お母さん”と呼ばれる、鬼みたいな顔をしたこの女のひとは、あたしの目の前に小テストの答案を突き付ける。いつの間に取り出したんだろう…ちゃんとわかりにくい所にしまっておいたんだけどなあ。

「なんでいつもいつもあんたはこんな点数ばっかり取るの!?この前よりも下がってるじゃない!優月!聞いてるの!?」

ぼーっとしていたあたしの頬に、お母さんの手のひらが勢いよく飛んでくる。ぱちん、と乾いた音がして、右頬がじんわりと熱くなった。

目を見開いて肩で息をしているその姿をキッと睨みつけてやると、お母さんはきつく握った拳をあたしの鳩尾に飛ばす。栄養不足の為に軽いあたしの体は、その衝撃で簡単に吹っ飛んで強く壁に叩き付けられた。

「まだ小学2年のガキが…なんだその目はあぁぁぁぁあぁああっ!」

お母さんは傷んだ長い髪を振り乱してあたしを殴ったり蹴ったりを何回も何回も繰り返した。口の中に血の味が広がり、体が重くなっていく。あたしは何の反応も抵抗もせずに、早くお父さん帰って来てくれないかな、とひたすら願っていた。


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