「俺はお前が好きなんや。なんでわかってくれへんの?」


さっきまで笑ってたのに今は泣いている。



初めから恐怖心はあまりなかったけど、夜船くんの表情を見て安心した。


「私には佐山がいるから。」

それを聞いた夜船くんは私の制服のボタンを外そうとした。


その手を止めると、夜船くんが悲しそうに言った。


「俺の居場所はどこやねん。」


「夜船くんの家の事情とか知らないし、知りたいとも思わない。そんで、夜船くんの気持ちにも応えられない。夜船くんが不安なことくらいこの家見てればわかる。ここが夜船くんの居場所じゃないことくらいわかる。でも私達じゃ何もできないかな?私達じゃ夜船くんの居場所を作ってあげられないかな?」


夜船くんは泣いた。


彼は毎日底知れぬ不安と戦っていたのだろう。


一気にためていたものを流すかのように夜船くんは泣いた。