『どうして?』


「碁には、黒石と白石が要るでしょ?ぼくが黒で、君は白」


『私が白?』


そうだよ、といいながら涼子の白いカフェオレの缶を指差して、


「そしてぼくはこれ。黒だ」


ブラックの缶を突きだし、黒ずくめの服を着た胸を張った。


『そういうことね』


「うん。黒石だけあっても意味がない。だから、お別れじゃない」