べつに好きでもないけど、
ブラックコーヒーを飲みたくなるときがある。




いや、あるに違いない。
だってもう大人だもん!!
ちくしょー




「ふーん。ずいぶん大きな独り言だな。」



「あっ!すいません、うるさかったですか?」
涼子が申し訳なさそうに振り返るが誰もいない。





ってあれ?おかしいな、心の中で思っただけなのに。どこからともなく不思議なおっさんの声で返事が聞こえる……





「いやいや!まだおっさんじゃないから。人間でいったら28歳くらいだし」




ああ、まだ聞こえる…

最近不眠で寝れてないからかな。





はぁー、自分の部屋にいるのに見知らぬおっさんの声に反応しちゃうなんて……つくづく私って馬鹿だな。




「おーい、シカトかー?
上だよ、上。いい加減気付いてくれないとさみしく死んじゃうよ」




涼子は椅子に座りながら、背伸びをするように上を見上げると爽やかに自転車にまたがる男が手をふっている。





ドン!!







涼子は見たことのない光景に椅子から転げ落ちた。。