「...実桜の気のせいじゃない?」


また手を動かし始めた


「...そっか...」


聞くのを諦めて、ソファに沈み込む


絶対...誰かがあたしのそばに居たの


そうじゃなきゃ...この違和感は取り除けない


でも誰なのか、顔も名前も思い出せない


誰がそばに居てくれたのか...


いつもあたしを守ってくれたのか...


それすらも覚えてない


誰か...あたしに教えてよ...


「....あ!!」


ふと思い出したある場所


「ちょ、実桜!!どこ行くの!?」


カバンから携帯を取り出して制服のポッケに入れて玄関へ駆ける


「ちょっと出掛けてくる!!」


「実桜!!」


お母さんの声を無視して家を飛び出した


忘れないうちに...


忘れたくない場所に...


行かなきゃ...


会わなきゃ...


あたしは無我夢中で走った


曖昧な記憶を辿って、走り回った


1時間かかってようやくたどり着いた目的地


...見渡す限り、花畑だった