「ただいまー」


「あら、実桜!!もう帰ったの?」


「うんー。サボっちゃった」


「ダメじゃないのー」


とか言いながら、お母さんもあたしと同じような性格


「ねえ、お母さん」


「なぁに?」


洗濯物を畳むお母さんの前に正座して座る


「あたし、昨日何してたの?」


「昨日?昨日はね~...」


お母さんは言葉を詰まらせた


「...じゃあこれ、見て」


カバンからくしゃくしゃになった紙を渡す


「なぁに?コレ」


お母さんは顔をしかめた


「カバンの中に入ってたの。ヴァンパイアって、人間の血を吸う生き物でしょ?」


「...そうね」


「誰かの悪戯、だなんて思えない。お母さん、何か知らないの?」


「さぁ、お母さんは何も分からないわ」


手を止めずに洗濯物を畳み続ける


「...そっか」


お母さんは絶対何かを隠してる


「あたし、よく一緒に居る友達って誰だった?」


「え?」


畳む手が止まる


「誰かの声が聞こえるの。ずっと...あたしのそばに居る気がして。何か大切なこと忘れてる気がするの」