よかった。誤魔化せて。
普通を装おうとしても、無理だった。
本にあり得ないことが書いてあったから・・・・


最後の文には――・・・・・


『鈴音は前の名を「楓」といい、ある日突然屋敷の庭に倒れていたらしく、「未来からやってきた」と話していたという内容が書かれていて―――』



前の名が、『楓』・・・?
未来からやってきた?



偶然?
おかしいよ、こんなの。あたしも『楓』なんだから・・・・!


「・・・・っ!・・・・帰ろう、祐樹。」
「・・っは?来てからまだ1時間たってねえぞ?」
「いーから!!」


1秒でも早く、ここを離れたかった。



祐樹は訳が分からないって顔してたけど、すぐに勉強道具を片づけてくれた。

一緒に図書館を後にしてからはずっと無言。



けど、あたしにはそんなこと気にもしなかった。