時代は、平安時代。簡単に復習するつもりで、持ってきた本には・・・・・・


あの名前が書かれていた。


「これ・・・・・!!」


そこには。

『―――平安時代
鶴羽の君に仕えていた鈴音という女性がおり―――・・・・・』


『鈴音』・・・・!!!
夢で呼ばれていた、あの『鈴音』・・・?


でも、鈴音って名前の人はいくらでもいるはず、だよね?
偶然かもしれないし・・・・・



希望を捨てずに、次のページ。


『鈴音は鶴羽の君の身の世話などをしていたが、詳細は不明。鶴羽の君について書かれた書物によると―――』



――――ゴトッ!


読み始めてすぐにあたしの手から本が滑り落ちた。
図書館中に響く乾いた音。


「っ!?なにやってんだよ!」
「え・・・・・」


あわてて本を拾う祐樹。
周りの視線が痛いほど注目する。


「・・・・・すみません」


なんでか祐樹が頭を下げてくれた。
何も言わないあたしに対して心配そうに


「おい、楓。どうしたんだよ。顔色悪ィぞ?」
「・・・・・ごめ、ん。なんでもないよ」


すぐに笑顔をつくって誤魔化した。多分、相当引きつってたと思うけど。
祐樹は腑に落ちなさそうだけど、またすぐに勉強をし始めた。