あたたかい風が吹いた。 遠くから、声が聞こえる。 『―――早く、帰ってこい・・・!約束だろ・・・・鈴音・・・!』 ・・・・だれ?だれなの? 凛と澄んだ声が耳に焼きつく。 違うよ。あたしは、鈴音じゃない。あたしは楓・・・・ 白くて優しい世界からふわりと身体が浮いた。 急速に何もかもが遠ざかっていく。 ――――ダメ。まだ、聞いてない。 あなたは誰なの?・・・・・誰を、呼んでいるの?