「はよー・・・」


あくびをしながらリビングに入ってきた


゛仮お兄ちゃん゛の彼方。


彼方を見た瞬間体がビクッとなった。


「いっ・・・行ってきます」


急いでカバンを持ち玄関に向かう。



「あれ?もう行くの?」


すれ違う時彼方が私に声をかける。


「彼方には関係ないじゃん」



彼方に冷たく言い放ち足速にリビングをでる。


「あっ、いってらっしゃい」


お母さんの声に答えず家を出ることを優先する。


ローファーを履きドアノブに手をかけた時


「ルウナ」


冷たく低い彼方の声が響く。


私は金縛りにあったように固まって動けなくなった。


「いってらっしゃい」


さっきとは違う明るい声。


「・・・っ!」


勢いよく振り返り彼方をキッと睨みつけ家をでた。


彼方と私は血が繋がってない。


彼方は私が小さい頃、雨の日に路地でうずくまってた。


それを見たお母さんが家に連れてきた。


・・・らしい。


小さい頃の話だからよく覚えてない。


一人っ子だった私は自分にお兄ちゃんができたみたいで嬉しかった。


でもそれは最初だけだった。


あの日彼方は・・・。


ああ!もう!やめよ!!



彼方のことなんて・・・考えるだけ無駄!!

「あ、ルウナ」


私が家の門を出たのと同時にリュウがきた。