彼方が私の腕をつかんだ


「・・・やだっ!」


反射的にバッと後ずさりをした。


「触んないで!!離してっ!!」


私は思いっきり腕をふる。


でも、なかなか彼方は離してくれない。



「離して!!!」


次の瞬間私は彼方に思いっきり平手打ちをした。



「・・・って・・・」

彼方が怯んだ瞬間にバッっと私は彼方から離れる。




「・・・最低・・・!」


私は彼方に背をむけ、歩き出す。



「おいっ!待てよ!!」


「何?」



さっきとは違う冷めた声で言う。


「何か用でもあるの?まさか言い訳する気?」



私はこの時、妙に冷静だった。



「もう2度と、私に関わらないで」


そう言い、私はその場を去った。


その時に聞こえた彼方の悲痛な叫びは私には届いてなかった。


「・・っ・・・!」



この時の私は、自分だけが苦しくて、自分だけが辛い思いをしている。


そう思っていた。


・・・自分が人を傷つけていたのに・・・。