学校生活の入れ替えはあたしの停学が解けてからになった。

初めて着る学ランを鏡を見ながら整えていると、

「お姉ちゃ～ん！」

そう言って優がノックもなしにあたしの部屋に入って来る。

あたしの部屋って言ってもここはホントは優の部屋。

「ちょっ！優！お前は今藍沙なんだからな！お姉ちゃんって呼ぶな。優って呼べ!!」
「わ、わかった。ねぇゆ、優！カツラがズレそうで怖いよι」
「んじゃあ、ちょっとそれ貸しな！」

優が着ているあたしの女子校の制服につけてたピンクのピンを取ると、耳の後ろのサイドに留めてやった。

「よし!!これで取れねーだろ♪」
「ホントに？」
「ホントだ♪さっ！学校行くぞ!!」

あたしはそう言うと優の手を引いて部屋を出て、学校へと向かった。




「やっぱりなんか不安だなぁι」

登校中にふと優が呟いた。

「何言ってんだιあたしの友達、瑠璃がいるから大丈夫だ！あっ！瑠璃にもバレないようにな♪」
「…え？何で？友達ならこの事知ってるんじゃ…」
「教えるの面倒くさかったし。瑠璃、おっとりしてる天然だから気づかないって♪」

優の口が金魚みたいにパクパクしている。

ちょうどあたしと優の学校へ行く分かれ道に着いた。

「じゃあオレこっちだから！じゃな！“姉ちゃん!!”」

そう言って優に手を振るとそそくさと学校へ向かった。