あいつは、いつも木の上にいた。 

マンガ? か本かはこっちからは見えない。 けど読んでいた。 


あたしの窓側の席からよく見える木だ。 

いつも見かけていた。 というか視界の中に入った。 



けどしゃべったのは今日が初めて。

   

「どうして素直にならないの?」

向こうから声をかけてきた。 
 

第一声がそれなんてよっぽど非常識なやつなんだ、と普通に思った。 


でも自分の心を読まれているみたいで、なぜかすごくしゃくに触って、ムキになって答えた。   


「あたしは友達なんていらないし、一人でも全然いいから。 

 ほっといてよ。」