何となく手でつついたら負けな気がして、近くにあった棒でフェンリルをつついて起こしてみることにした。


「フェンリルー!お・き・ろー!!
起きないと、永遠の眠りにつくことになるよー!!」


「………………………………………はっ!!」


「あっ、起きた。」


起きると、凛はフェンリルの上に巨大な玉を造っていた。


「りりりり凛!!それは止めてくれ!!!俺マジで死ぬから!次こそ本当に死んじゃうからぁぁぁぁぁ!!」


「えー、じゃあ私のこの行き場のない怒りは何処に捨てればいいのー?」

と言っている間にも、フェンリルの上の玉はどんどん大きくなっていく。

「だいたい、フェンリルが早く起きないのが悪いじゃない。」


「あんなの落とされて早く起きるとか無茶ぶりだから!!」


「えー、無茶ぶりじゃないよ。私のお母さん私がなかなか起きないと、バタフライナイフ投げてくるもの。それに比べればこんなの序の口よ、序の口。」


凛ママ恐るべし………。

「と、と、取りあえず混合魔法だけは止めてくれ!!!俺だけじゃなくて周りも吹っ飛ぶから!!」


そうなのだ。
今凛が使おうとしている《混合魔法》というのは、その名の通り、二つ以上の魔法を組み合わせて全く別の性質の魔法を生み出す、という極めて難しい魔法なのである。
この混合魔法が何故難しいのかは、それぞれの魔法を混ぜる量を決めるのが極めて難しく、量を失敗すればそのぶんの魔力は失われるのに、魔法が起きないという事が起きる為に余程熟練した者でなければ成功させることは難しいとされていて、代わりに一般の魔法より、威力とか効果が数十倍にもなる。