「どうだった?」



僕が教室に戻るなり、松木君は聞いてきた。

みんなの視線がぐぐっと僕に集まる。



「1日だけなら借りれるそうです。」

「まじか!」

「黒田に行かせといて良かったな。」



クラスはもう成功ムードで漂っている。

まだ劇の練習も本番もやってないのに。

能天気な人たち。



「七尾、学校来てたのか。」

「はっ、はい。」



七尾君はなぜかびくびくしている。

きっとズル休みがばれて、怒られると思ったんだろう。

ズル休みなんて、この人たちにとっては怒られる対象じゃないんだから、大丈夫なのに。



「お前、魔女役だからな。」

「えっ…!?」



七尾君は目を見開いて驚いた。



「よし!
これで全員揃った。
絶対に成功させるぞー!!」

「…」



誰も松木君のあとに続かない。

そんなみんなに松木君は、



「てめえら何で反応しねぇんだよ!!」



松木君は教卓からみんなに飛びついた。

ワーギャーワーギャー

一気に騒がしくなる教室。



「いい感じになってきたじゃん。」



安藤君はこんな騒がしいクラスの様子を嬉しそうに見ていた。

隣の七尾君を見ると、


 また泣きそうになってるし…




そして次の日から、文化祭準備に学校全体が慌ただしくなっていた。