「いや~、見違えちゃったよ。
道合君。」



涼真君は、疲れきって仰向けに寝ている俺の隣に座った。

俺の体力は限界で肩で息しているというのに、涼真君は全く疲れていないようだ。


 もう涼真君は人間じゃないな


いつも1人ぼっちだった俺に手を差しのべてくれて、何でもできて、俺に持っていない全てを持っている。

ずっと憧れの人物。

涼真君の真似をして頑張ってみたものの、いつも空回り。

けど、ただ1つだけ。

俺にはケンカっていう才能があった。

強い奴に勝つと、俺に勝とうとして寄ってくる。

そしてまた勝って、またケンカ。

これが、俺が不良になったいきさつだ。



「安藤君、大丈夫ですか!」



救急箱を片手に走ってきた眼鏡とポケットに両手を突っ込んでゆーっくり歩いてくる田中。


 あれ、眼鏡の名前って何だっけ?
 田中…田中カケルの方だっけ?

 まっ、どっちでもいっか。