「……」


え?

先生は無言のまま私の手をぐいっと持ち、歩いていく。


『あの〜』


私がそっと先生を見ると、すごく真剣な瞳をしていた。




「中、入って?」


私達は、視聴覚室に来た。


沈黙が少し続いた。


沈黙の中、先生が口を開いた。


「俺……酒井が好きだから。」



突然の事に頭がまわらない。


だって………うそでしょ?


「俺、一目惚れだった。」

『え?』


「…入学式の時、なんでか知らないけど酒井を目で追ってた。生徒だし…好きになることはないって、自分にいい聞かせて、自分の気持ちから避けてた。俺は担任持ってないから、酒井とは、あんまり会わないだろ?でも、打ち合わせの時も、酒井が学級委員だって、分かって…気持ちが高鳴った。」


私は、ただ先生の話をうん、と頷いて聞いていた。



「体育大会の時、酒井が
手伝いに来てくれた時、すごく嬉しかった。いけないって分かってたけど、もう少しだけ、一緒にいたかった。だから……車で送ってったんだ。本当は、これで終わりにしないと、これ以上まで酒井が好きになったら、俺、自制きかねぇから///」


『なっ///』



「告ってくれた時、俺はこれで終わりにしようと思ってた。だから…余計にびっくりしすぎて黙っちまって悪かった。…本当はすぐに俺も好きって言いたかった。


でも、教師っていう壁が俺を止めるんだ。

…でも、今日会って、絶対はなしたくない、…そう思ったんだ」