「やっぱ夏は麦茶だよな」
「薄いけどね」
冷えるのが待ちきれず、
出来立てに氷を入れて飲んでいる。
俺からは、兄はちゃんとコップを持ち、
中身も減っているかのように見える。
そう見えているだけで、
何らかの力で傾けられて、
でも中身は下に零れているだけなら困るな。
そう思って、
飲んだ後の畳を調べてみたけど、
濡れている様子は無く、ほっと息をついた。
「何してんの?」
「なんでもないよ」
兄は不思議そうに見ている。
こっちの方が謎いっぱいだよ。
固形物は減らないのに、
何故麦茶は無くなるんだろう。
……蒸発したのか?
勝手にそう納得した。