そんな訳で、
今年も俺は兄を待つ。
作った馬を仏壇に供えて、手を合わせた。
すると、玄関のドアが開く音がした。
鍵はしっかり閉めていたはずなのに。
足音がして、
少しすると仏間のふすまが開けられた。
「お帰り」
「……ただいま?」
何故か疑問形で、兄は言う。
去年よりも、その背丈は伸びていて
見るたびに成長しているようだから、
いまだに彼に追いつく事が出来ない。
「普通、追い越してしまったって
しんみりするもんじゃないの?」
「何の話?」
やっぱりちゃぶ台近くの
座布団に座って、兄は尋ね返す。
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