小さい頃に、
熱を出したりして寝込むと
いつもそばで見守っている誰かが居た。
その人は俺よりもいくつか年上の子供。
母さんも傍についていてくれたけど、
買い物なんかで一人残された時。
心細い時に、
そばにいたのはその人だった。
だけど、彼の姿は
俺以外の誰にも見えないらしい。
その人が俺の兄だと、
生まれてくる前に亡くなってしまった人なのだと、そう知ったのは小学校低学年の時の事だ。
寝込んでいると隣に来たり、
恐らく手だろう、ひんやりとするものを額に当てられたり。
普段からも、姿は度々見ていた。
だけど体が強くなったせいなのか、
彼の姿を見る事は段々と減っていった。