伴奏が決まった日からしばらく経ったある日。

「ねぇ、比奈ちゃん。練習進んでる?」

先生に聞かれた。

合唱コンクールの曲は、もうだいぶ仕上がっていた。

「じゃあ、指揮者の子と1回合わせてみようかな」


え? 指揮者?
指揮者なんているの?


「先生、指揮者って誰ですか?」


「え?嘘、比奈ちゃん知らない? 伴奏やりたい子決めた時に一緒に指揮者も決めたけど?」

そのとき比奈、伴奏のことしか頭になくてなんにも話聞いてなかったかも…