あの大会のあと先輩は今まで以上に練習に励んでいた
中学生最後の試合まで残り3週間
3年生の先輩は雰囲気からそのやる気をかもしだしていた
部活内にピリピリした空気が漂い
私たち1年生はその空気に緊張していた

「お疲れ様でした」

ようやく2時間の練習を終えて帰ろうとした時

「ねぇ。香夏子待って」

私の名前を呼んだのは彰浩先輩

「どうしたんですか?」

「あのさ・・・・こんなこと言うの初めてだからうまく言えないかもしれないけど、俺と付き合って。」

その瞬間時間が止まったようにお互いに動かなくなった
どう答えればいいのか分からなかった
正直に自分の気持ちも伝えてしまえばいいのに
言葉すら発することができないくらい嬉しかった

「返事はいつだっていい。俺は後悔しないから」

帰ろうとする先輩に

「待ってください。私も・・・私も先輩のこと好きです。こんな私でよかったら付き合ってください」

言った。
やっと自分の気持ちを言えた

「本当に?俺のこと好きなの?俺でいいの?」

「はい。部活に入る前から好きです。先輩じゃなきゃイヤです」

「ありがとう。よかった俺振られるかと思った。じゃあ今日から俺らはカレカノだな!
 よろしく!」


その日は先輩と2人で家まで帰った
初めて握った手は大きくて暖かかった

「俺のこと先輩つけて呼ばなくていいんだよ。それと敬語も」

「なんだ恥ずかしいです・・・」

「ほらまた敬語。そのうち慣れるよ」