「僕は大丈夫だよ?まぁ、ちょっとお行儀は悪いけどね」

「ううん、手が汚れちゃうから。タダでもらったようなものだから気にしないで」


笑顔で渡すと、和泉君も受け取ってくれた。

……やっぱり手掴みって食べにくいもんね。受け取ってくれて、安心した。


ぱくり


和泉君は卵焼きを食べると、目を見開かせた。


「……おいしいっ!!」


いつも落ち着いた雰囲気の彼だけど、無邪気に笑っていて、私はトクンと胸が高鳴った。

……男の子の苦手意識が薄れてきたところだったのに、何だか急にドキドキしてきちゃったよ。


「どうしたの?具合でも悪い?」

「あ、な、なんでもないよ」


心配で覗き込む和泉君の顔を見れずに私は首を振った。


ドキドキドキドキ.....


やだ。なんでこんなにドキドキしているの?