「零音、行くぞ」





振り返って



家を見つめた。





この家が私を


苦しめた。




そんな理不尽な私






気まずくなったあの2人も、私の母親も、見送りには来なかった。





結局、春美チャンにも一度も会いに行かなかった最低な人間。






「楓、斗……」




私の言葉をかき消すように強い風が吹いた。