「確かに俺は、きみ1人じゃないけど」


――え?!…

いま、

なんて、

言ったの?


「そういうのが嫌なら、もう、俺らは仕方ない…と思う」

「ええっ…、うんっ……。そうだよね」


大地は、私が、わざとカマをかけてきたと、信じ込んでいる様子だった。
でも、私は、ただ呆然とするばかりだった。


嘘、嘘、嘘??!!


冗談で言ったのに。


大地って、そういう人だったの??!!


この際、私が、本気で大地のことを疑っていたと、彼自身が信じて話をしているさまが、滑稽といえば滑稽だった。


「そう。だから…」

「ううんっ…。いいの。わかった。そういうことなら、もう電話しない」

「そう?」

「うん。じゃあねっ…」


私は、悪夢から一刻も早く逃れるために、ブチッと電話を切った。


そして、しばらく、唖然として、頭がくらくらするのを、どうすることもできずに、部屋の床に座り込んでいた。


そんな、簡単に、女の子に近づいて、二股をかける男の話なんて、私の周りにはなかった。
そういうのって、もっと大人の世界か、ドラマの話だと思っていた。


嘘だ、嘘だ、嘘だ……。


この現実は、まだ男子と付き合って2人目という、幼い私には、到底、受け入れられないショックだった。