そういえば、シマは、最近、ずっと休み時間に教室にいなかった。


あれは、私との関係が気まずいからだと、私は勝手に解釈していたけれど、私の勝手な勘違いだったのか。


なあんだ…。
心配して損した。


私は、1時間目が終わると同時に、教室を出て行く前のシマをつかまえて、
「昨日は、ごめん」と謝った。


「ああ、ミク。元気そうでよかった」


シマはにっこりした。


「あの、べつにそれだけなんだけど」

「いいよ。っていうか、べつに、謝ってもらわなくてもいいよ。俺が、勝手に介抱してただけだから」

「ううん。てか、私、お酒は嫌いだなんて言ってたのに、あんなになって、カッコ悪い」

「…なにか、あったの? 主義を変えるくらいのことが」


シマは、じっと私を見た。
そのときのシマは、私と付き合っていた頃と変わらず、真剣なまなざしだった。