大地とは、それから、何回かデートした。
そのほとんどが、彼の寮の近くだった。


でも、実際に寮がどこにあるのか、私は知らなかった。


私は、たまには寮のそばを離れて、初めてのときみたいに繁華街へ遊びに行きたかったが、彼は練習で忙しいんだろうと思って、あまり無理は言わなかった。


「面白い岩があるのよ」


大地は私を、今度は別の神社へ連れていって、言った。


「ここに立ってみて」

「なぁに?」

「この地点から、あの岩のところまで、目をつぶったまま歩いていけたら、2人は別れないっていう、言い伝えがあるのよ」

「へ~」

「ミク、やってみない?」

「うん。やるやるー」


岩までは、5mくらいあった。
私は、岩の位置を、じっと見て頭に叩き込んだ。
こういうことをするときは、私は常に真剣なのだ。


それに、もし失敗して、「2人が別れる」ことになったら、気まずい雰囲気になるだろう。


私は、ここで失敗するわけにはいかなかった。