目をつぶると、大地の唇が、わたしの唇に触れた。


すごく、優しいキス。


シマとのキスよりは、少し濃厚な感じだった。
私は、ドキドキして、唇が離れたあとも、なにも言えなかった。


大地も、しばらく、なにも話さなかった。


さらさら、さらさら……。
川はどこまでも、流れていく。
私たちの始まりはここで、これからもずっと続いていくのだ。


「じゃ、行こうか」


大地が、立ち上がって、私の手をとった。
私たちは、この時点で、もうカップルだった。


「お腹すいたでしょ」

「ううん。そうでもない」

「でも、何か食べておかないと、帰りにすくよ。そこに、スパゲティ屋があるから」

「うん」


大好きな、大地。
私は、彼の手の温かさを、じんとかみしめていた。