「それは分かってる。何故、戸村が此処に居るんだ?」

「書類を届けに来たんです。佐渡課長が忘れて行った書類を…」





これですよ、と掲げながら私は営業車に向かって走る。





「危ない!」





佐渡課長がそう叫んだと同時に…





「うぎゃ」





私はその場にドテンと転んだ。


あれ、書類は…?


這い蹲った状態で周りをキョロキョロと見渡す。





「大丈夫か!?」

「はい…」





そっと私の前に現れた佐渡課長の手を借りながら立ち上がる。





「痛っ」

「怪我したのか…」





転んだ時に擦りむいたみたい。


さっきからズキズキと痛かったのはこれが原因だったんだ…