歌舞伎町の店にヘルプで入るようになり、俺は二つの仕事場を往き来するようになっていた。
詐欺グループの人からはあまり良い顔はされなかったが、元々誘われて入った新入りだからというのもあって、特に文句を言われることも無かった。
けれど、そんな日々は呆気なく終わりを告げる。
ある日、島田先輩と連絡が取れなくなったのだ。
「あ、あの、島田先輩は?」
「さぁ、知らねーな」
他の人に聞いても答えは同じで。
「お前、ホスト続けてるみてぇだけど、この仕事のこと喋ってねえだろうな?」
「…話せる訳ないじゃないですか」
「ははっ、確かにな」
何かがおかしいと思った。
結城さんも最近慌ただしく出掛ける姿をよく見る。
それにテレビや新聞で詐欺のニュースを目にすることも増えた。
本能が、危険信号を出す。
何かが起きると。
そうして、その日はやってきた。
先輩と連絡が取れないまま、重い足取りでマンションの一室へ向かっていると、人だかりが出来ていて車も数台止まっていた。
オバサンの話し声に耳を澄ませると、衝撃的な単語を耳にしてしまう。
“詐欺グループのアジト”
“逮捕”
“警察”
「!」
咄嗟にマンションを通りすぎてしまう。
今入れば、確実に逮捕される。
動悸が激しくなり、冷や汗が頬を伝った。
詐欺グループの人からはあまり良い顔はされなかったが、元々誘われて入った新入りだからというのもあって、特に文句を言われることも無かった。
けれど、そんな日々は呆気なく終わりを告げる。
ある日、島田先輩と連絡が取れなくなったのだ。
「あ、あの、島田先輩は?」
「さぁ、知らねーな」
他の人に聞いても答えは同じで。
「お前、ホスト続けてるみてぇだけど、この仕事のこと喋ってねえだろうな?」
「…話せる訳ないじゃないですか」
「ははっ、確かにな」
何かがおかしいと思った。
結城さんも最近慌ただしく出掛ける姿をよく見る。
それにテレビや新聞で詐欺のニュースを目にすることも増えた。
本能が、危険信号を出す。
何かが起きると。
そうして、その日はやってきた。
先輩と連絡が取れないまま、重い足取りでマンションの一室へ向かっていると、人だかりが出来ていて車も数台止まっていた。
オバサンの話し声に耳を澄ませると、衝撃的な単語を耳にしてしまう。
“詐欺グループのアジト”
“逮捕”
“警察”
「!」
咄嗟にマンションを通りすぎてしまう。
今入れば、確実に逮捕される。
動悸が激しくなり、冷や汗が頬を伝った。