彼は人間らしい、人間の中の人間のような人。

彼は私の隣で目覚め、携帯を開いた。
遅刻だとわかり「やば」っとだけ漏らし、立ち上がり、お風呂に入り、髪をかわかし、ひたすらに急いでいた。
2時間の遅刻。

どんなに頑張って急ごうが、遅刻は遅刻だ。私ならダルくなって休むか、行くとしても「祖父が倒れた」とか「酷い喘息が出た」とか馬鹿げた嘘の理由に悲しい顔をつけて、同情を求めるだろう。

それなのに彼は舌打ちをしながら、部屋中をうろうろして、10分程度で出ていった。
いつもベッドまで戻ってきて、いってきますのキスをするのに、今日は無しだ。

もちろんそれは彼は急いでいたからで、彼が帰ってきてからそれについて責めようとは思わない。