智子はようやく、あずみに視線を移した。
「今は、そんな時代なのよ……行かなかったら非国民と罵られるんだもの。どの道、簡単には生きていけない……でも」
智子の重い言葉に、あずみは声すらも出せなかった。
「でも、非国民でもいいから、大成さんには戦争に行ってほしくなかった」
戦争の事はあずみも授業で習った事があった。
しかし、あずみの将来の夢は、定まりこそしていなかったが、過去を振り返るものではなかった。
いつも未来を担う職業に付けたら、と思っていたのだ。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…