あずみは、その名前を聞いて、昨日の事を思い出していた。


『でも、死ねなかった……大成さんのところに逝けなかった……』


 確かに、道彦が迎えにきたとき、智子が言った名だった。

「スタンドから大成さんを探したけど見つけられるはずもなくて、ただ、あたしは出陣して行かれる方々に手を合わせるのが精いっぱいだった……でも、戦争なんて誰も行きたくなかったはずよ」

「なんで行きたくもない戦争なんかに……」