一日、珍しく穂高は教室を出る事なく授業を受けた。

 三つ斜め前に座るあずみの背中を眺めるも、結局その日、放課後の鐘を鳴らす今まで、視線を絡める事はなかった。


――こんな調子で、今日来るのか?


 あずみが、本当に言葉通りに約束の橋に来るのか不安だけが募る。